Twitter や Facebook などを検索していると、「3Dプリンタ、興味はあるけど 3DCG とか作れるわけじゃないし・・・」というコメントをよく見かけます。
なので今回は「CAD や 3Dモデリングの知識がなくても 3Dプリンタは使いこなせるか」ということについて書いてみようと思います。
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目次
結論から言うと CAD や 3Dモデリングの知識は要らない
私自身、パソコン関係には一般人レベルでは詳しい部類ですが、3DCG は10年以上も前にちょっと触ってみた程度で、本格的に 3Dモデリングが出来るわけではありません。
でも、3Dプリンタ「BS01」を手に入れてからの約9ヶ月間、以下の様な造形物をプリントしてきました。
これらはごく一部ですが、ここに挙げたものは全て「私が3Dモデルデータを作ったわけではない」のです。
つまり「自分で3Dモデルデータを作れなくても 3Dプリンタを使うことは可能」なわけです。
知識がなくても 3Dプリンタを使いこなす方法その壱
「誰かが公開している 3Dモデルデータ」を使ってプリントする。これが一番簡単な方法です。
例えば Thingiverse には多くのデータが毎日投稿されており、それらの多くは 3Dプリンタですぐに出力可能な形式である STL ファイルなので、それらの中から好みのデータを選んで 3Dプリントすればいいわけです。クリエイティブ・コモンズ・ライセンスのデータも多いので、サイズを変更したりデータを改変したりしても問題ないのもメリット。
有料でデータを購入するサイトもありますが、基本的にはプリントしてみるだけなら無料でデータは手に入ります。
逆にデメリットは、「思った通りのデータ」に出会える可能性はそんなに高くない、ということでしょうか。
3Dプリンタで出力できるデータをダウンロード出来るサイトは当ブログでもこちらにまとめております。
知識がなくても 3Dプリンタを使いこなす方法その弐
「3Dスキャナを使って取り込んだ 3Dモデルデータ」を使ってプリントする。一応、「自分で 3Dモデルデータを作る」部類に入るのでしょうか。
個人向けの 3Dスキャナも10万円以下のものがチラホラ出てきましたので、一年前より現実的な方法になりました。
ただし、個人向けの 3Dスキャナの性能はまだまだ高くないので、「物体のコピー」として 3Dスキャナと 3Dプリンタを使うのはオススメできません。物体のコピーを作るのは、型どりして複製するほうが精巧なものができます。
「既存の物体のサイズを拡大・縮小したもの」をおおまかに作りたい場合にはこの方法はとてもマッチングします。
知識がなくても 3Dプリンタを使いこなす方法その参
「3Dモデルデータ作成サービス」を使って 3Dモデルデータを手に入れる。これも一応、「自分で 3Dモデルデータを作る」部類に入るのかもしれません。
大抵が「ウェブアプリケーション」として提供されており、作れるものは限定はされますが、自分である程度のカスタマイズが可能なのがメリット。
大きさや形を指定していったりするだけなので、CAD や 3Dモデリングの知識は求められません。
Shapeways が提供している Sake Set や、2D to 3D が有名ですが、中には「作成した 3Dモデルデータのダウンロードが出来ない」サービスもあります(そのままプリント注文する場合が多い)ので、注意が必要です。
知識がなくても 3Dプリンタを使いこなす方法その四
「誰かに 3Dモデルデータを作ってもらう」。自分で作れないので誰かに作ってもらう、ということです。前述した 3Dモデル作成サービスを使う方法と似ていますが、こちらは完全に人力。
当然ながら無料でやってくれる人なんて居る訳ありませんので、有料の方法になります。
今のところ、「3Dモデルデータを作って欲しい人」と「作ってくれる人」のマッチングサイトなどは登場していないので、この辺りの分野も伸びるといいですね。
また、前述した 3Dスキャナを使って 3Dモデルデータを作成する、のを高性能なスキャナを持っている業者にお願いする、という方法もあります。
それでも満足できないのなら自分で作るしか無い
結局そこかよ、と言われればそれまでなのですが、「自分で作る知識はなくても 3Dプリンタを使って楽しむことは出来るよ」ということが言いたかったのです。
ただ、私自身そうでしたが、色々と造形物をプリントしているとどうしても「物足りない」と感じてくるんです。
「このデータ、もう少しここがこうだったらなぁ」とか「こういう形のものが欲しいなぁ」とか。
私の場合は「既存のデータに新たな形を付与する」という方向から「最初から自分で一から作る」に進み、今ではある程度の形なら自分の思い通りのものを作れるようになりました。
作りたい物の種類によって CADソフトを選ぶかモデリングソフトを選ぶか変わってくると思いますが、昨年メディアが散々騒いだ「アイディアを形にする」という謳い文句は「既に CADソフトやモデリングソフトを使いこなせる」人向けの台詞だったと思っています。
でも、カメラやパソコンもそうですが、「既に写真の撮り方を熟知している人」や「パソコンの使い方を熟知している」人がカメラやパソコンを買うわけではありませんよね。まずはカメラやパソコンを手に入れて、「こんな写真が撮りたい」「こんな動画を編集したい」という目的が後から産まれて、それに向かってみんな知識やテクニックを身につけていくはずです。
3Dプリンタだって、そうあるべきだと思うのです。
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