ロストワックスの代わりとして使える、という目的で作られているフィラメントのようなのですが、鋳造が身近な存在である歯科関係者からすると「え、それって必要なの・・・?」と思ったので私なりの考えを書いてみました。
ロストワックスに使えるMOLDLAYフィラメント | WEEKEND MAKERS lab
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目次
そもそもロストワックスとは
ロストワックスとは、ロウで原型を作り、周りを鋳砂で覆い固め、ロウを溶かして除去することによってできた空洞に金属を流し込むことで鋳物をつくる手法。
同じような方法は古くから仏像やお寺の鐘を作る方法として存在していました。
ロストワックスに用いられるワックス(蝋)はほとんどが融点100度を超えないものが使われ、それ以上の温度の炉に入れておくことでワックスは完全に焼却され鋳型として機能します。
ロストワックスに使えるという MOLDLAY
MOLDLAY フィラメントはロストワックスの代わりに使う、ということなのですが、炉に入れて270度まで熱していくと完全に除去される、とのこと。
一見、ワックスの溶ける温度よりも高いので「代わりにならないのでは?」と思われると思いますが、金属を鋳込む場合は、溶かした金属の融点とほぼ同じ温度まで鋳型を熱するので、低融点金属で無い限り、大抵の場合は鋳型は最終的に数百度まで熱せられるため、ワックスも MOLDLAY フィラメントも同じように溶かされるはずです。
何が「うーん・・・?」なのか
前述しましたが、低融点金属でもない限り、鋳型は少なくとも数百度に熱するんです。
ということは、別に MOLDLAY フィラメントでなくても、現状のほとんどの 3Dプリンタ用フィラメントは焼却されてしまうんです。
つまり、どのフィラメントでもロストワックスの代わりになってしまうんです。
つまるところ、MOLDLAY フィラメントは「低融点金属を鋳造する場合にしか有効でない」んです。
それってターゲット層が凄く狭いと思うんですよ。個人でワックスを削ったり盛ったりしてアクセサリーを作ったりする人は多いと思いますが、そのほとんどは貴金属で鋳造することを選択すると思いますので、そうなるとこの MOLDLAY フィラメントは全く役に立たないんです。
ちなみに業務用ならば、ワックス3Dプリンタは既に高精度のものが存在しますし、光造形式3Dプリンタは既にジュエリー業界でロストワックスの代わりとして使われています。
なので、この MOLDLAY フィラメントがどこをターゲット層にしているのかよくわからなくて、「うーん・・・?」というわけなのです。
MOLDLAY よりも個人的に欲しいフィラメント
銀粘土フィラメントです。シルバークレイって一時期流行りましたよね。粘土みたいにこねこね形作って、焼くことでシルバーアクセサリみたいになる粘土。
あれが欲しいなぁ・・・と。
ロストワックスよりもよっぽど簡単で 3Dプリンタにあっているんじゃないかと思います。
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コメント
樹脂なんでも良いわけではなく、残渣が残りにくい材料であることが必要かと。ちなみに光造形で消失型を作るときはハニカム状の空洞構造に造形して残渣を少なくします。
by らりほ~ 2015年2月18日 2:36 PM
コメントありがとうございます。
光造形樹脂だとエポキシ系が多いから確かに残渣の問題はありそうですよね!
ただ ABS のようなアクリル系だとそういうことって少ないのではないかなぁ・・・と思いまして。
歯科ではアクリル系樹脂を使うことが多いのですが、残渣は問題にならないので。
PLA に関してはちょっとわからない部分があるのですが(^_^;)
そのうち実際に埋没して焼却させてみようと思っています。
by 3d_dent 2015年2月18日 4:53 PM