今年の初めにデアゴスティーニの週刊マイ3Dプリンターが全巻揃い、ようやく3Dプリンタ「idbox!」が大量に世の中に完成してはや1ヶ月。
デアゴスティーニの公式FAQは役に立たないわ公式コミュニティのレスポンスは嘘みたいに悪いわで阿鼻叫喚の図が Twitter 等で散見される今日このごろ、皆様如何お過ごしでしょうか。
そろそろデアゴスティーニユーザー、もとい idbox! ユーザーの方々が陥りがちなポイントが固まってきたので、idbox! の兄弟機である BS01 の初期ユーザーとして、皆さんが陥りがちなポイントをまとめてみることにしました。
(今回は若干毒舌が混じっております)
sponsored link
目次
ハードウェアの問題をソフトウェアで解消できると思っている
これ。まず第一にこれ。
あなた達は完成品を買ったのではない。毎号送られてくるパーツを自分の手で組み立てたはずだ。つまりド素人が組み立てた3Dプリンタなわけだ。そもそも完璧なわけがない。
それなのにトラブルが起こると3Dプリンタを操作するソフト側に問題があるのでは?と安易に思い込む。
はっきり言い切ってしまえば、「うまく造形できない」理由の99%は、ほぼ3Dプリンタ本体の問題だ。
素人が組み立てたんだから当然の話なんだ。
いくらデアゴスティーニの組み立て解説記事がとてもわかりやすく書かれていても、結局組み立てたのはあなた達なんだ。不具合だって当然のように起こる。
でも安心して欲しい。
idbox! には調整する余地がある。
そう、あなたが組み立てた中で発生した不具合は、貴方自身で直せるはずなのだ。それこそがキットの良い所なのだから。
幸いにも、idbox! には大量の「同機種ユーザー」が居る。さらには兄弟機である BS01 のユーザーも、私を含め大量に居る。
彼らの知恵を借りれば良いんだけれども、そこで第二の問題点が出てくる。
公式コミュニティがガチでダメ
ディスるってレベルじゃない。ガチでダメ。
まず、レスポンスが最悪。公式コミュニティへの書き込みにユーザー登録しないといけないのは今の時代なら当然ですが、書き込んでから反映されるまで数日かかるっていうのが致命的。
質問者が質問を投稿するじゃろ?
それを見て回答を投稿するじゃろ?
「当コミュニティは、新規スレッド、返信を問わずすべての投稿をいったんコミュニティ管理者が確認したのち、コミュニティ上に反映させるシステムとなっております。」
もうね、バカかと。アホかと。
このシステムのせいで、質問の投稿に返信の投稿が反映されるのに数日かかってるんですよ。
Twitter でふとした疑問をなんとなくつぶやいたら秒速で回答が返ってくる時代に何をやってるんだって話なんですよ。
公式コミュニティは確かに必要だろうけども、それを管理する側が本当にやる気がない。
なので、先人たちの知恵を拝借したい場合は、Twitter でそれとなく #マイ3Dプリンター とかタグ付けて疑問点を呟くと、どこからともなく暇人が愛ある先駆者が現れて解決策を授けてくれるかもしれない。
もしくは、BS01、idbox! の両方を所有しているとあるユーザーさんが作った非公式のコミュニティが Facebook にあるので、そちらで聞いてみるのも良いかもしれない。
ともかく、公式コミュニティはガチでダメ。
公式サイトで配布しているソフトの設定がおかしい
デアゴスティーニの公式サイトでは、idbox! を操作するためにフリーソフトを日本語化しただけの専用のソフトを用意しているのですが、このソフトの標準設定がどうやらおかしい。
聞いた話の中で一番ビビったのは「PLA フィラメント使用時のノズル設定温度が230℃」というもの。
3Dプリンタ初心者の方にはなんのこっちゃ、というお話かもしれませんが、一般的な PLA フィラメントの造形可能温度って 190℃〜210℃前後なんですよ。
サンプルとして付いてきた PLA フィラメントがいわゆる「高機能PLA」と呼ばれるシロモノなので、なんとか造形可能温度内なんですが、それでもほぼ限界の温度。サンプルフィラメントが無くなって、Amazon などで普通の PLA フィラメントを買った人がこの設定のまま使おうとしたらさぁ大変。高温で一般的な PLA フィラメントを使い続けると、ノズル内部で炭化してノズルが詰まってしまって全くフィラメントを送り出せなくなります。
最初に「うまく造形できない」理由の99%は、ほぼ3Dプリンタ本体の問題だ、と言いましたが、残り1%にこういう罠が待っているので公式設定を信じるのはほどほどに。
ノズルパージキットが付いていない
設定がおかしくてノズルが詰まる可能性がある、というお話をしましたが、そもそもそのノズルの詰まりを解消するための方法が用意されていません。
兄弟機の BS01 では「ノズルパージキット」というノズルを掃除するためのキットが付属しているので、idbox! も当然付属しているものと思い込んでいたのですが、全くメンテナンス方法が用意されていなかった模様。
これに関しては色々と代替方法が考えられてはいますが、素直にボンサイラボのサイトからノズルパージキットを購入されたほうが良いと思います。
クリアランスの問題とBuildTakへの過信
「うまく造形できない」理由のスタート地点がノズルとベッドの間のクリアランスの調整がしっかりされていない事なのですが、どうやらそのクリアランスを調整するネジ部分が BS01 よりも回しにくい模様。
ただ、購入特典として付いてきた BuildTak シートが優秀なおかげで、最初の一層目は食い付いてくれるんですよ。ただ、その後造形を続けていくと、ベッドが傾いているせいで上部を造形する最中にベッドから剥がれたりする問題が出てきてしまう、という。
このブログでも何度か「BuildTak 良いよ〜」という内容の記事を書きましたが、あくまで「クリアランスその他の調整がしっかりと出来ている」のが前提ですので、BuildTak シートを過信するのは良くないです、えぇ。
ファームウェアの問題
idbox! は PLA 専用機ですが、兄弟機の BS01 のように、仕様上は ABS を使えるようになるヒートベッドへの換装が可能です。
でもそれは、ハードウェアとしての仕様のお話。
実は BS01 でも、PLA 専用モデルから ABS モデルへの換装の際には、テーブルの高さが 2mm 変わるので Z軸の設定を変えてやらなくてはならないんです。で、その設定は3Dプリンタ本体のファームウェアを書き換えないといけない。
書き換えないとベッドがノズル近くまで上がりきってくれず、完全に造形できなくなります。
ところが、デアゴスティーニ公式としては idbox! のファームウェアを公開していません。
おそらく兄弟機の BS01 のファームウェアを使えば問題ないとは思いますが、ヒートベッドへの換装に限らず、ファームウェアが公開されていないのは他の設定を弄って調整することも叶わないので、デアゴスティーニは自社でファームウェアを公開するべきだと個人的に思います。
公開しないのはたぶん余計なサポートが増えるのを危惧してだと思いますが、どのみちサポートなんて機能していないんだから(ry
最大の問題は季節
色々と挙げてきましたが、デアゴスティーニの週刊マイ3Dプリンターが最終巻を迎えたのが冬真っ盛りの時期、というのが最大の問題点だと思います。
そもそも、熱溶解積層法の3Dプリンタって気温でかなり造形品質に影響を受けるんですよ。熱で溶かして、冷えて固まったものを積み重ねるわけですから。
なので、室温を一定温度以上に保つ、3Dプリンタ本体を保温箱で覆う、等の工夫を先人たちは凝らしてきました。
ところが、そんな工夫も全くされず、大量の idbox! が3Dプリンタにとっては地獄と呼べる冬場の環境に放り出されたわけです。
Facebook の非公式コミュニティでも「北海道の室温では厳しいです・・・」とか書かれているのを見ると、お、おぅ、ご愁傷様です、としか言いようがなく。
逆を言えばこのとんでもない地獄をきちんと調整やら工夫を施して乗り越えられれば、春が来る頃には楽に造形できるようになっているはずです。
兄弟機のBS01 ユーザーとしてのアドバイス
私はクラウドファンディングに出資してキット版を手に入れた、idbox! の兄弟機、BS01の初期ユーザーです。
なので、自分で全てのパーツを組み立てた idbox! のユーザーの皆様のことは「同じ苦労をしたお仲間」だと思っています。
頑張って組み立てた3Dプリンタが造形物を初めてプリントした時の感動も、うまく造形できないもどかしさも、全て経験してきました。
そんな私からのアドバイスはふたつです。
ひとつは「手をかけた分だけ良くなってくれる」こと。
ふたつめは「色んなデータをプリントしてみたり様々なフィラメントを使ってみたりすることで適正な設定や調整が自然と身に付いてくる」こと。
このふたつは必ず皆様にも訪れる結果だと思っています。
貴方の idbox! は、まだ産まれたばかりの赤ん坊です。その赤ん坊を育てる手助けをするのに、私を含め先人ユーザーは協力を惜しむつもりはありません。
非公式コミュニティでお待ちしています。
コメントはこちらから